Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate

Aozora Bunko

余りの不思議さに、警部は、ワラ人形の上にしゃがみ込んで、その胸のあたりを、つくづく眺めた。

「やっぱりそうだ」

確に、ワラが一寸ばかり切れ込んで、短剣の刺さったあとを示している。

「もっと、よくごらんなさい」

明智がそばから声をかける。

よく見よとは、一体何を? 不審に思ってワラ人形の傷口をボンヤリ眺めていると、その傷口から何か黒いものがにじみ出して来た。

その黒いものが、紙のこげる様にジリジリとひろがって行く。

「アア血だ!」

黒いのではない。毒々しい真赤な色だ。夕暗のために、それが黒く見えたのだ。

ワラ人形は、胸を刺されて、真赤な血を流しているのだ。

恒川氏は、傷口に触った指を、目の前に持って来て、窓の光にすかして見た。案の定、指にはベットリ血がついている。

「ハハハハハ、イヤ、何でもないです。ただちょっと、お芝居を本当らしくする為に、ワラ人形の胸に、赤インキを入れたゴムの袋を、しのばせておいたのですよ。しかし、これで、ワラ人形の小川正一が胸を刺されたことは、ハッキリお分りになるでしょう」

明智が、笑いながら説明した。

すると、やっぱり、あの短剣は幻覚ではなかったのだ。