Classici giapponesi con furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate
暫くすると、元の客間に集まって、不安な顔を見合わせていた倭文子達の所へ、一人の書生が、真青になって、惶しく駆け込んで来た。
「確かに誘拐です。シグマが帰って来ました。こいつは坊ちゃんの為に、こんなに傷つくまで忠実に闘ったのです」
書生の指さすドアの外を見ると、小牛の様なシグマが、全身あけに染まって、悲しいうなり声を立てながら、グッタリと横わっていた。
ハッハッという、せわしい呼吸。ダラリと垂れた舌、ともすれば白くひきつって行く眼。数ヶ所にパックリ口を開いた、むごたらしい傷口。
倭文子は、廊下に寝そべっている、真赤なものを見た刹那、どこか遠い所で、同じ運命にあっている、いたいけな我が子の聯想の為に、フラフラとめまいがして、倒れ相になるのを、やっとこらえた。
彼女には、血みどろのシグマが、むごたらしく喘いでいるのが、いつまでたっても茂少年の、のたうち廻る姿に見えて仕方がなかった。
畑柳家には、執事の様な役目を勤めている、斎藤という老人がいたのだけれど、あいにく不在の為に、三谷が代って、警察へ電話を掛け、事情を告げて、茂少年の捜索を依頼した。
警察からは、係りの巡査が出向くという返事であったが、その用件をすませて、受話器を掛けるか掛けないに、またけたたましいベルが鳴った。