Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate

Aozora Bunko

恒川氏は両人に犯人捜査上手懸りとなるべきことを、色々に訊ねて見たが、結局読者に分っている以上の事柄は、何も発見されなかった。茂少年を鞭打った人物も、ただ「顔を黒い布で包んだ小父さん」という外には、何も分らなかった。

三谷青年は、毎日の様に見舞にやって来た。彼の方から来ぬ時は、倭文子が待兼ねて電話で呼び寄せた。

親戚といっても、立入って口出しをする程の近しい人はなかったし、斎藤老人は実直一方の好々爺で、こんな時の力にはならなかった。乳母のお波は、多弁で、正直で、涙もろい外に取柄のない女だ。恋愛関係は別にしても、倭文子としては、さしずめ、三谷青年をたよる外はなかったのである。

二三日は別段の出来事もなく過去った。が、獲物を奪われた悪魔が、そのまま指を啣えて引込んでしまう筈はなかった。やがてまた、倭文子の身辺に、何ともいえぬ変なことが起り始めた。

彼女は、ある時は寝室の窓に、ある時は化粧室の鏡の中に、またある時は、客間のドアの蔭にさえ、あの恐ろしい怪物の顔が、ソッと彼女を覗いているのに気付いた。

どこから、どうして這入ってくるのか、いつの間に逃げて行くのか、書生などが、いくら素早く追っかけて見ても、相手を捕えることは出来なかった。