Classici giapponesi con furigana
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よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
Leggi 夜明けの辻 (よあけのつじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.801 caratteri · 86 schermate
精しく聴くことができた。そして、彼は生れ変ったように、明るく大きな視野を与えられ、国体と臣民との本来のつながりをしかと掴んで、大弐と別れて来た。
武家政治を安泰にするための道徳、かって至上律と思っていた狭い武士道から解放されて、大きな正しい道をみいだした彼は『今こそ本当に生きる』という強い自覚をもって帰ったのだ。
母や妹のことは、国老が始末をしてくれるものと信じていたし、自分も帰藩したら、改めて来栖道之進とともに、国老の新政のために身を投げだして働こうと考えていた……ところが、いま家僕の言葉を聞くと母や妹は屋敷から身を隠したらしいし、自分にも横目役から追捕の手が伸びているという。これはいったいどうしたことなのか。
「それで、母上はどうしておられる」
「とりあえずわたくしの実家へお匿い申し上げました」
「おまえの家は日野の在だったな」
「鮎川の向う岸で川治と申すところでございます。ここからは二里あまり、すぐに御案内をいたしましょう」
「いや待て……そこは安全な場所だろうな」
「はい、御領分外でございますから、小幡の小役人ははいれまいと存じます」
「よし、それではおまえ先に帰ってくれ」