Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あにきのようなこころもち

大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ

芥川 竜之介

Leggi 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.007 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

その証拠には自分の如く平生好んで悪辣な弁舌を弄する人間でも、菊池と或問題を論じ合うと、その議論に勝った時でさえ、どうもこっちの云い分に空疎な所があるような気がして、一向勝ち映えのある心もちになれない。ましてこっちが負けた時は、ものゝ分った伯父さんに重々御尤な意見をされたような、甚憫然な心もちになる。いずれにしてもその原因は、思想なり感情なりの上で、自分よりも菊池の方が、余計苦労をしているからだろうと思う。だからもっと卑近な場合にしても、実生活上の問題を相談すると、誰よりも菊池がこっちの身になって、いろ/\考をまとめてくれる。このこっちの身になると云う事が、我々――殊に自分には真似が出来ない。いや、実を云うと、自分の問題でもこっちの身になって考えないと云う事を、内々自慢にしているような時さえある。現に今日まで度々自分は自分よりも自分の身になって、菊池に自分の問題を考えて貰った。それ程自分に兄貴らしい心もちを起させる人間は、今の所天下に菊池寛の外は一人もいない。

まだ外に書きたい問題もあるが、菊池の芸術に関しては、帝国文学の正月号へ短い評論を書く筈だから、こゝではその方に譲って書かない事にした。