Classici giapponesi con furigana
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あにきのようなこころもち
大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ
Leggi 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.007 caratteri · 56 schermate
島木赤彦氏
島木さんに最後に会ったのは確か今年(大正十五年)の正月である。僕はその日の夕飯を斎藤さんの御馳走になり、六韜三略の話だの早発性痴呆の話だのをした。御馳走になった場所は外でもない。東京駅前の花月である。それから又斎藤さんと割り合にすいた省線電車に乗り、アララギ発行所へ出かけることにした。僕はその電車の中にどこか支那の少女に近い、如何にも華奢な女学生が一人坐っていたことを覚えている。
僕等は発行所へはいる前にあの空罎を山のように積んだ露路の左側へ立ち小便をした。念の為に断って置くが、この発頭人は僕ではない。僕は唯先輩たる斎藤さんの高教に従ったのである。
発行所の下の座敷には島木さん、平福さん、藤沢さん、高田さん(?)、古今書院主人などが車座になって話していた。あの座敷は善く言えば蕭散としている。お茶うけの蜜柑も太だ小さい。僕は殊にこの蜜柑にアララギらしい親しみを感じた。(尤も胃酸過多症の為に一つも食えなかったのは事実である。)
島木さんは大分憔悴していた。従って双目だけ大きい気がした。話題は多分刊行中の長塚節全集のことだったであろう。島木さんは談の某君に及ぶや、苦笑と一しょに「下司ですなあ」