Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
道中かかることの万一にもと、丹後守が心添えして附けられたものを、まだその国許を離れない先にこの有様では、なんと申しわけが立つ。人に申しわけではない、大切の守り人を眼前に奪われて、武術の冥利がどこにある。
そればかりではない、お豊は奪われてならない人である――物に冷やかな竜之助も歯を噛んで憤った。
「源太郎どの、賊は幾人ほどじゃ、何か見覚えはないか」
「たしか二人――わたしを撃っておいて、お豊を引捉えて、馬に載せて、あちらへ、あちらへ」
源太郎の介抱を馬子に任せておいて、竜之助は立って前後を見る。乗って来た馬は駄馬である、所詮敵を追うべき物の用には立たぬ。
少し北へ寄った原中に、一つの小高い塚、その上には大きな松が聳えている。
すすきの茂る小野の榛原。竜之助はともかくもその塚までかけつけて、眼の届く限りを見渡す。ただ茫々たる原野につづく密々たる深林と、遠くは峨々たる山ばかり、人の気配は更にない。
「ああ……」
溜息をつくと共に冷然たる己れに返った。いくら尋ねても無駄! 案内知った者ならば、この野原をいずれの方角へでも逃げられる、逃げて窮すれば、山の中に入る、山でいけなければ、谷へ隠れる――不知案内の自分が、いくら追うたとて所詮無益である。