Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

「ああ、あの方はたしかに……」

笠を深く被ってはいたけれど、お豊はその旅の武士の一隊の中に、竜之助のあることをたしかに認めたのであります。

お豊は周章て梯子段を下り尽したけれども、かの十人ほどの武士の一隊のうちの一人も、店へ入って来た人影はありませんでした。店先に打ち水の空手桶をさげてぼんやり立っているのは女中一人。

「お光さん、今こちらへ、お客様がお見えになりましたでしょう」

「いいえ」

「それでは、ここを十人ばかりのお武家様がお通りになったでしょう」

「あ、お通りになりました」

「そして……どちらへお越しになりました」

「鳥居のわきを南の方へおいでになりました」

「まあ、そうでしたか。それでは違ったか知ら」

お豊はそれから、もしやと植田丹後守の邸の前まで行ってみました。

しかし、邸はいつもの通り穏かなもので、下男の久助が打ち水をしている。

「久助さん、久助さん」

「おや、お豊さんか」

「あの、ただいまお邸へお客様がありましたか」

「いや、さっき郡山からのお使が一人見えたっきり、正午前のうちは武者修行が三人ほどおいでになりましたが、直ぐお帰りでした」

「ああ、そうでございましたか。