Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

「わたしはそれも心配でございます」

「お殿様にもお気に入り、朋輩衆にも嫉まれず、それが女の腕というもの。まあ初陣と思うて乗り込んでごらん」

「お師匠様の御恩報じのつもりで、きっと勤めまする覚悟」

お松の頼もしい言葉は、お師匠様と呼ばれた切髪の婦人の心を非常に満足せしめたようでありましたが、やや小声になって、

「それにねお松や、お前が女中衆のうちでいちばん年も若いしするから、何でもまず殿様を丸めてしまわなくては……ホホホ、丸めるというと恐れ多いけれど、やっぱり何とかして殿様をこっちのものにするのさ、ね、おわかりかえ」

「まあ、わたしにそんなことが――」

耳まで真赤にしてお松が俯向くのを、

「ホントにお前はまだ子供で困ります」

お松がここで行けと言われている家は、四谷の伝馬町の神尾という三千石の旗本であります。この切髪の婦人というのは先殿様の妾であったので、殿様が亡くなって殊勝らしく髪を切って、仮りに花の師匠となり、弟子というものもさっぱりないけれども、先代からの扶持やその他で裕福に暮らし、院号やなにかで通るよりも本名のお絹が当人の柄に合います。

神尾の邸の中では、旗本の放蕩息子らが日夜入りびたりで賭博に耽ると言い、十人も綺麗な女中がいて、それやこれやの聞きにくい噂があります。