Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうれいとう

幽霊塔

黒岩 涙香

Leggi 幽霊塔 (ゆうれいとう) di 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 266.479 caratteri · 532 schermate

Aozora Bunko

時刻だ、美人は衣服の襞を探って地図の様な者を取り出し、独りで庭の方々を見廻す様子ゆえ、余は首を差し延べ、其の地図を窺いたが、能くは見えねど此の屋敷の略図らしい、一方には河が有り堀が有り、爾して庭の小径など記して有る、併し地図よりも猶目に付いたは、美人の身姿だ、着物は高価な物では無い、不断着には違い無いが、肩から裳まで薄い灰色の無地だ、灰色は鼠色の一種で日影色とも云い、縁喜の能く無い色だと信じられて居て、殊に年の若い婦人などは之を厭がる、其の厭がるのを何故に着けて居るだろうと是も怪しさの一つに成ったが、頓て其の手を見ると、着物の怪しさを忘れて仕舞った、左右とも手袋を被ては居るが左の手には異様な飾りが附いて居る、細かな金の鎖を網に編み、所々へ真珠を繋いで有って、夫が袖口の奥の方から出て来て、爾して手袋へ続いて居る、余は此の様な手袋は見た事が無い、飾り気の少しも無い総体の身姿にも不似合だ、何か此の手袋で隠して居るのでは無かろうかと此の様な気がして成らぬ、併し問い試ねる訳にも行かぬ。

其のうちに美人は堀の土堤を、庭の奥の方へ歩み初め、一丁余も行って終に堤下に降りた、茲に大きな榎木が五六本聳えて居る、其の一本の下に余り古く無い