Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうれいとう

幽霊塔

黒岩 涙香

Leggi 幽霊塔 (ゆうれいとう) di 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 266.479 caratteri · 532 schermate

Aozora Bunko

様に思われる、埃の臭気は鼻に慣れて別に感じぬが、其の外に何だか鼻なれぬ香いがある、扨は女が此の間に居て今に化粧品でも残って居るのか知らん、余り心持の悪くない香いだ、臭気ではなく寧ろ香気だ、爾だ爾だ化粧台の有ったのを見ても女の住んだ事は分る、斯う思うと幾分か心の中も寛かになり其のまま寝台へ上ったが、香気は極微弱では有るけれど余の神経へ最と妙なる影響を及ぼした。確かに此の香いは秀子が常に愛して居る香料と同じ者だ、秀子の室へ這入る度に余が精神の爽かになるのを覚えるのは確かにこれだ、扨は此の室が即ち秀子の居た室か知らん、秀子が此の家に居た事は様々の事柄で察せられるのみならず、宵の程幾度か婆の口から美人と云ったのも秀子の様だ、シテ見ると此の寝台が秀子の寝た跡かも知れぬ。

余は唯是だけの事に大いに心を打ち寛ぎ、何時の間にか眠って了った、僅かに二三十分も眠ったかと思う心持だのに、目が覚めて見れば早や、古い窓の戸の透から朗かな旭日の影が射して居る、余に取っては蘇生の想いだ、気も軽く寝台より下り、室中を見廻したが、室に在る多少の小道具などを見ると茲に秀子の身の秘密が幾等か残って居る