Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate

Aozora Bunko

古泉堂できくとあの古本は五百円もするとの事で、それほど貴重なものを落されるには、どうも、そう考えるより外はありませんから」

丑村刑事の推理に驚くと同時に、康雄はだんだん気味の悪い思いをしはじめた。彼は何と答えてよいかに迷った。あの女については決して語るまいとした覚悟が、見る見るうちに刑事の舌で崩されて行くように思った。彼はもう沈黙を守るのが一ばん無事であると決心した。

「御迷惑にならなければ、御話を願いたいものです」と、刑事は慇懃な態度で言った。「何しろ、殺人という大事件で御座いますから。どうか、私たちの捜査を助けて頂きたいものです。実は」

と、急に調子をあらためた。康雄は、刑事の、「実は」をきくごとにぎくりとさせられたので、こんどは何を言い出すのかと、息を凝した。

「今朝四時少し前のことです。一人の年若い女が御器所の方から跣足で歩いて来るのを、巡邏中の警官が見つけて、ひそかにあとをつけて行くと、女は中央線の高架線路の小針の踏切りを上りかけたそうです。これは怪しいと思って、土手の陰に身をひそめて様子をうかがって居ると、折しも汽車の音がごーっと聞えて来たので、間違いがあってはならぬと、駈け上って、有無を言わさず取り押え、事情をきいても、固く口を噤んで何とも言わなかったそうです。