Classici giapponesi con furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Leggi 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.140 caratteri · 396 schermate
私は一時ぼんやりしたように立って居たが、やがて気を取りなおしてとりあえず、ポケットから手巾を取り出して、傷口を繃帯し、びっこをひき乍ら家に帰った。
私が格子戸をあけて上ると、彼女はいつもの通り飛び出して来て、私にしがみ附こうとしたが、私の顔色のただならぬのと、こむらの部分がふくれ上って居るのを見るなり、いきなりひざまずいて、私が何とも云わぬ先に手巾の繃帯をはずし、血みどろになって居る傷口を凡そ一分間ばかり眺めて居たが、突然その右手を私の右の腿にかけ、犬がかみつくような風に、傷口に唇をあてて、ちょうど赤ん坊が母親の乳を吸うように、ちゅうちゅう吸いにかかった。私はびっくりして思わず脛を引こうとしたが、彼女の強い腕の力は、私の脚をぴくともさせなかった。私があまりの恐ろしさに暫らく茫然として居ると、凡そ三分間ほど血を吸って、それを心地よげに嚥み下しながら、血に染った歯齦を出して、ニッと笑い、
「あなた、狂犬に噛まれたでしょう。わたしが毒をすっかり吸い取って上げたから、もう予防注射を受けなくてもよいわよ」
といった。そしてその夜、四五回も彼女は私の血を吸った。