Classici giapponesi con furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate
おはいんなさい。」と、義兄も炉の前から声をかけた。
「では、ごめんなさい。」
男は内へあがって来て、炉を取りまく一人となった。義兄の紹介で、彼がこの町の警察署に長く勤めている巡査であることを私は知った。今夜は非番で遊びに来たのである。彼は東京から来たという私に対しては、おばん式の土地訛りを聞かせなかった。東北弁の重い口ながらも彼は淀みなしにいろいろの話を仕掛けて、一時間ほども炉のまわりを賑わした。わたしが土産に持って行った東京の菓子を彼はよろこんで食った。
「御職掌ですからいろいろ面白いこともありましょうね。」と、わたしは彼に訊いた。「探偵小説の材料になりそうな事件が……。」
「さあ。」と、彼はほほえんだ。「中央と違って、地方には余りおもしろい事件もありません。稀には重罪犯人も出ますけれども、何分にも土地が狭いもんですから、すぐに発覚してしまいます。犯罪の事情も割合に単純なのが多いようです。したがって、あなた方の材料になるような珍らしい事件はめったにありません。」
それでも私にせがまれて、倉部巡査は自分の手をくだした奇怪な探偵物語を二つばかり話してくれた。