Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate

Aozora Bunko

その一つはこうであった。

今から九年ほど前の出来事である。その頃、倉部巡査はこの町に近いある村の駐在所に奉職していたが、ちょうど今夜のような細かい雨がしとしとと降る宵であった。河童のような一人の少年が竹の子笠をかぶって、短い着物のすそを高くからげて、跣足でびしゃびしゃと歩きながら駐在所の前を通った。

「おい、与助じゃないか。どこへ行く。」と、倉部巡査は声をかけると、少年は急に立ち停まって、手に持っている硝子の罎を振ってみせた。

「酒を買いに行くのか。」

「うむ。」と、与助はうなずいた。

「なぜ女中を買いにやらないのだ。」

与助は黙ってにやにや笑っていた。

「どうだ、お父さんは相変わらず可愛がってくれるか。」

与助はやはり笑いながらうなずいていた。

「まあ、気をつけて行って来るがいい。滑ってころぶと罎をこわしてしまうから、よく気をつけて行くんだぞ。いいか。路が暗いからすべるなよ。」と、倉部巡査は噛んでふくめるように言い聞かせると、与助は黙って又うなずいて、暗い雨のなかへ消えるようにその小さな姿を隠してしまった。

与助は村の医師の独り息子で、ことし十六の筈であるが、打見はようよう十一二くらいにしか見えない、ほとんど不具に近い発育不全の少年であった。