Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

そして渇いた巨獣が流れに鼻を沈めるような姿で、がぼ……がぼ……がぼ……。

ぷるん、と時折、首を上げて舌なめずりをし、顔を横に顎の雫を振って切る。

「う、うっ。たまらぬ」

重いほうの桶は、まず片づけた。さすがに少し骨が折れるらしい。

「てへへへ。まだ底に残っておるな。ようしっ」

墨染の法衣を刎ねて、諸肌ぬげば、ぱッと酒気に紅を染めた智深が七尺のりゅうりゅうたる筋肉の背には、渭水の刺青師が百日かけて彫ったという百花鳥のいれずみが、春らんまんを、ここに集めたかのように燃えていた。

「……ううい。ああ、なんとよい眺めだ、絶景絶景。腹の虫も雀踊りしおるわ。……待て待て、まだまいるぞ」

軽いほうの桶の耳を両手でつかんだ。毛の生えている丹田(下腹)がぐうっとそッくり返ったと思うと、桶の中から滝を呑むように飲みだした。もちろん、その何分の一かは、あだかも岩肌を伝う小さい渓水みたいに彼の胸毛や法衣をビシャビシャにして地に吸われている。

「むむ、これで、まずご満足、ご満足――」と、智深はたちまち混沌たる愉快にくるまれてきたらしい。天地万物、すべて我れのためにあるかのような心地とみえる。