Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「はははは。わしは軍人だ。そんな者に恐れはせんよ。おう酒がなくなった。あとのを、あとのを……」
呼延灼は、ついつい、手酌をかさねて、したたかに酔ってしまった。さいごに、飯をと亭主が揺り起しても、そこの卓に俯伏したまま、どっと疲れも出て眠り入ってしまった態だ。
ところが、亭主の子であろう。吩付けられて、飼糧桶を抱え、裏から軒の外へ廻って行った童子が、そこで、すッ頓狂に、わめいていた。
「馬がいないよ! 馬がいないよ! おとっさんお客さんの馬って、どこにいるのさ」
「げッ、いないって?」
「馬糞だけだよ、ここにあるのは」
「もう盗られたか」
「攫われたんだね」
「風の仕業だ、まるで黒い風の――」
この騒ぎに、呼延灼もガバと目をさまし、
「なに、烏騅が」
と、飛び出して来たが、夜は暗々、地の理はわからず、それに飲んだ酒が、顔には一瞬に冷めながら、こめかみの辺では、ぐらぐら、眸の裏側を、沸らせている。
「亭主、桃花山は、どっちの方だ」
「どっちといっても、とてもだんな、間に合やしません。さきは盗んだ馬で一足跳び。おまけに、そいつが脚の早い名馬ときては」
「恩賜の名馬なのだ。