Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
それがまた耳について、寝つかれなかった。
「や、や。変に明るいぞ」
ぎょっとして、彼は飛び起きた。廟の破れ壁の隙間から、赤い夜空が見えたのだ。
「しまった! まぐさ小屋の方角だ」
彼のあたまには、すぐ小屋の炉の火がその原因と考えられていた。まぐさ小屋は一棟ではない。たちまち馬糧廠一面の火の海となるやもわからない。
「すわ、こうしては居られぬわえ」
枕もとに立てかけておいた朱房の槍を持ち、すぐその消火のために馳け向おうとしたときである。彼はギクと足を立ち恟めた。
廟のすぐ前で、なにやら人声がしているのだ。聞くともなく、耳をすましていると。
「うまくいったなあ、管営。……やあ、差撥もご苦労だった。これで林冲も、こんがりと、黒こげになったろう」
――声には都で覚えがある。高大将家の副官、陸謙にちがいない。
それに答えているのは、これも紛れない管営と差撥だ。もう一人いるのは、陸謙の連れの富安だろう、かなたの猛火を眺めあいながら、しきりにげらげら笑っている。
「まったく、管営さんや差撥さんの大手柄でしたな。この大雪を幸いに、部下に命じて、林冲の寝込みを計り、小屋の腐れ柱を一気に除らせたというんだから堪りませんや。