Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「勅使のおくだりだぞ。粗略あるな」
と、州の長官以下、大小の諸役人から土軍はもちろん、土地の男女僧俗まで、みな道に堵列して、洪大将を出迎えた。
その夜のさかんな饗宴はいうまでもなかった。地方の吏が中央の大賓に媚びることは、今も昔もかわりがない。わけて、丹紙の詔書を奉じて来た勅使であるから、県をあげて、庁の役人は、そのもてなしに心をくだいた。
が、洪信は、さすが軍人である。豪放で、らいらくだ。かつ、朝廷の賜餐には馴れ、街の銀盤玉杯にも飽いているから、どんな歓待とて、彼の舌や眼を驚かすには足らない。
「まあ、まあ。杯は下におけ。そう酒ばかりすすめんでもよい。このたびの下向は儂にとっても、重大な勅の勤め。さきに飛脚しておいた下し令状も見たであろうが」
「しかと、拝見しております」と、州の長官は、急に、畏みを見せて、――「聖旨のおもむきは、さっそく、この地の奥、龍虎山上清宮につたえおきましたから、万端をととのえご参籠をお待ち申しあげておるはずで」
「そうか。では今夜は、不浄をつつしみ、明朝は沐浴して、上清宮へ登って行くとしよう。貴様たちも、はやく退がれ」
つぎの日、洪は暁天に旅館を立ち、州門から八十支里(六町=一里)もある西南の大岳を望んで行った。