Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
父母の面影が映る。弟妹の声が聞える。武芸の師、読書の師、およそ、この身を育んでくれた天地間のもの、ありとあらゆる生命の補助者が、ひしと、彼の袂をつかまえて、「なぜ、死ぬのか」「死は易いが、生は再びないぞ」と、引き留めているような気がした。
「ああ、恐い。意味のない死は、こんなに恐いものか。やはり俺は死にたくないのだ。意味を見つけたいのだ、死の意味か、生の意味かを」
彼は急に、岩頭から後ろへ跳んだ。死神の口から遁れたように、以前のところへ戻ってみると、そこには醜い十六個の影が、まだ眼を白黒させたり口ばたに泡を吹いている。
「ばッ、ばか野郎っ」
満身の声が、ひとりでに衝いて出た。すると急に、気がからッとしてきて、
「ようし、おれは死なんぞ。こんなやつらと心中してたまるものかい。そんな安ッぽい一命じゃなかったはずだ。後日、今日の匪賊どもを捕えるのも一使命だし、あとの命は、どう使うか。そいつも、生きてからの先の勝負だ」
ふと気づけば、あたまに失くなっていた自分の一剣が地におちていた。拾い上げて、腰に横たえ、空を仰ぐと、夜鳥の一群が、斜めに落ちていくのが見える。