Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
肉を炒かせ、飯をあつらえた。小酒屋へ入って、飲まないのも悪いと考えてか、その間に、
「酒も少し……」
と、飲めるような顔でいった。女は世話女房ふうの女だが酌の仕方は馴れている。
飲めぬ口なので、青面獣が炎面獣のような火照りになりだした。肉を食い、飯をつめこみ、やおら野太刀を持ち直して腰をあげた。いささか、夜来の自失を取りもどし、足どり、眼づかい、ようやく本来の彼に立ち返っていた。
「あら、お客さん。お忘れじゃあ、困りますよ」
「なに。なにがよ」
「お勘定を、どうぞ」
「なるほど。そうだったな」
「ご冗談を」
「じつは、文無しだ。だが、おれも男だ、きっといつか来て払うよ」
「とんでもない、旅の人なぞに」
楊志は、耳もかさない。女は叫ぶ。そして、しつこく、どこまでもと、追いすがって来る姿を、
「うるさい」
と、一ト睨みに、ねめすえて、また、
「はははは」と、大声で独り笑った。
「おばさん、おばさん。この男一匹を、そうみじめに追い詰めるなよ。これでも、もとはしかるべき家柄に生まれ、ちょっぴり肩書などもあった者だよ。いまにきっと返しにくるから、今日のとこは、貸しておきなよ」