Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
――夕方からここに舟屯して、何濤や仲間の合図を待っていた大小数十そうは、滝壺の中の木ノ葉みたいに揉まれ始めていた。
しかも、それだけではない。沼のはるか風上から、団々たる二つの火が、闇の水面を辷るように飛んで来る――あッと、立ち騒ぐまもなく、それは眼前に来ていた。二そうの小舟に枯れ柴を山と積んだ大紅蓮なのである。
はやくも、炎の柴は、こっちの舟団にぶつかって、凄まじい火を所きらわず撒きちらした。防ぐ手段は何もない。舟から舟へ、火は燃え移り、狂い廻るばかりなのだ。居所を失った人間は、蛙に似ていた。水中よりほかに逃げ場はなく、浮き沈みしつつ火の粉をかぶッた。
なお、憐れをとどめたのは、岸へ逃げ上がった輩である。そこには、
「ござんなれ」
と、待ちかまえていた戒刀の持ち主があった。腕の冴えは、まさに彼の異名、入雲龍の名を思わせるもので、これぞ道士公孫勝その人だった。
さらには、管鎗を持った阮小七だの、野太刀や櫂を振りかぶる小二、小五などの三兄弟のほか、この浮巣島の漁民十数人も加わって、
「――一匹も生かして帰すな」
と、うろたえ廻る官兵を追っかけ廻したものである。