Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

「お客さん、ご存知ですかい。あのお方が、及時雨といって、県でも良吏と評判な宋押司さんでございますがね」

「そうか。置いたぜ、髪結い賃を」

「あッ、だんな、まだ片が残っていますよ。それにおつりも」

「いいよ、いいよ」

男は後も振り向かない。

八ツ乳の草鞋に、白と緑の縞脚絆、野太刀をぶっこみ、片手に范陽笠という身がるさ。

燕のように軒並びの町の灯を過ぎって追ッ馳けていって、

「もしっ、お待ちなすって」

と、宋江の後ろ姿へ呼びかけた。

「え? 私ですか」

「お見忘れでござんしょうか。名主の晁蓋さんの屋敷に身を寄せていた者の一人。赤髪鬼の劉唐でございますが」

「あ。あの赤馬どのか。……これは驚いた。意外な所で」

「おなつかしいやら、あの節のお礼やら……。ま、何から申していいか分りません。ちょっと、そこらの酒屋までお顔を拝借できますまいか」

町端れの仄暗い一紅燈。そこの二階の小部屋におちつき、劉唐は、野太刀を壁の隅に立てかけると、下にひざまずいて、

「……昨年の秋、九死に一生を得させていただいた大恩人の宋江さまへ、あらためて、頭領の晁蓋以下、呉学人、公孫勝、阮の三兄弟などに代りまして、このように、真底、お礼申しあげます。