Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「押司さま。なにも急に、今でなくても」
「……いや、待ってくれよ。……やや、こいつは」
「いつだっておよろしいんですよ。この爺の棺桶などは」
「いや、しまった! なんとその棺桶は、自分の使い物になるかもしれん。こうしちゃあいられない。――爺さん、じつはよそで泡を食って、その金包み以外、大事な物まで置き忘れて来たんだ。宋江嘘はいわん。きっと後日買ってやるからな」
言い捨てるやいな、彼は疾風のように元の道のほうへ引っ返し、婆惜の家のある横丁へ馳けもどって行った。
「……いい気味だ、あんなやつ。これで清々と、あしたの昼まで寝てられるわよ」
さきに宋江が憤然として帰った後。――婆惜はいちど起き直って、薄衣を解き、裙子のひもから下の物まで脱いで、蒲団を払い、
「嫌だとなると、同じ男でも、こんなものかしら。いちどあいつが寝た蒲団だとおもうと、この温みやら匂いまでいやらしい」
と、ばたばたさせて、二つの枕の一つまでを、部屋のすみへ放りなげた。
そして、おや? と気がついた風である。
寝台の手欄へと、彼女の白い手が走った。蜀江織の薄むらさきの鸞帯――つまり大事な物入れとして肌身につけておく腹おび――に、釵にでもなりそうな翡翠玉と瑪瑙の付いた括り紐が、たらりと、それにかかっている。