Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「まあ。そんな、ならず者がかえ」
「……しまったと、拙者はそのとき観念しました。というのは、当時のならず者高毬が、四県追放となって、街門の人中で百叩きになった折、父の王昇は、もう仕官の身でありましたから、刑吏について、立ち会っておりました。すると、街の噂では、そのときの父の処置に、高毬がたいそう父へ怨みをふくみ、いつかはこの仕返しをするぞと、捨て科白を吐いていったとか。もう……十何年も昔のことですが、その記憶がハッと戸胸へきましたので、ああこれはいけないと、即座に、自分の死が見える気がしたのです」
「せがれよ、どうしようぞ。わたしも亡き良人から、むかし聞いていた覚えはあるが」
「あいや、うろたえ遊ばすな。幸い、一時家に帰されて、母上のお顔を見たので、拙者も、死んでたまるかと、心を持ち直して、一策を案じました。さ、さ……すぐお身支度にかかって下さい。父上からの思い出多い家ですが、邸を捨てて、遠くへ落ちのびましょう」
「だ、だっておまえ、邸の前後には、番兵もいるし、天下のお尋ね者になったら」
「番兵の頭、張と李の二人は、拙者の日頃の門下です。罪の軽くすむように、母上と共に、郊外の御岳の廟へ、祈願をこめに行って、夜明けぬうちに戻るからと頼めば、彼らもきっと、見ぬふりをしてくれるにちがいありません」