Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「ところがさ、世はままにならないものでね」
「おや、旦那にも、ままにならないことなんか何かおありですかえ」
「小唄の文句じゃないが、あちらで想ってくれるのは、こちらはさほどでもないし、こちらで想う人には……」
西門慶は、思い入れたっぷり、金蓮の顔を眼のすみから偸み見る。さっきから少しずつ酒も入っていた金蓮の皮膚は、そのとき名の如き蓮花の紅をぱっと見せて俯し目になった。その眸の留守を、婆の眼と西門慶の眼がチラと何かを語りあっていた。
「あら、あいにくだよ、もうお銚子が……。旦那え、お酒が切れましたから、役署前の上酒を買ってまいりますよ。その間、ご退屈でも、おかみさんと話していて下さいませんか。いいかえ、金蓮さんもここにいておくれね」
汐と見て、王婆はするりと、座を外す。そして部屋を出ると、外から扉の把ッ手を紐で絡げてしまった。のみならず、自分もそこに屈まり込んで、内の首尾に、かたずを呑んでいたのであった。
「金蓮さん。いや、おかみさん。も一ついかがです。まだお銚子には少しはある」
「もう、もう。こんなに頬が火照ッてしまって。くるしいほどなンですの」
「だって、いける口だっていうじゃありませんか。