Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
だが一応は、私に篤とその人間を見させて下さらんか。私が糺してみる」
「おお、ごらんなさい。弟、松明を」
「いやどうも、お手数、おそれいる」
こういって、槐の根がたへ、屈み加減に身を寄せた人は、ここの家人ではないらしい。しかも兄弟が尊敬している客と見えた。
「はてな」
と、その客は、兄弟を振り向いていった。
「行者の額の膏薬は、どうもわざとな面霞か、金印(いれずみ)隠しによくやる手かも知れません。ひとつ、引ッ剥がして見て下さらんか」
「されば、私たちもさっきから、そう睨んで脱ってやろうとしたんですが、歯を剥いたり、首を捻じ伏せたり、どうしても脱らせません」
「むむ、無理に見るにも及ぶまい。肩の肌に残っている背打ちの傷痕も、まちがいなく罪囚の持っているものだ。しかし……?」と言いつつ、槐の根を向うへ廻って、行者の面貌を見ようとした。すると武松はまたすぐ、逆に、こっちへ顔を捻じ曲げて、あくまで見さだめさせまいとする。
「ふふふふ。見かけによらぬ、未練な男だ」
と、その人は、軽侮と愍笑を交ぜて言った。その言に、むッとしたか、突如、吼えるように、
「なにッ」
武松は顔を振りあげて、上から覗きこむ顔を、はッたと、睨みすえたのだった。