Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
お礼はいくらでも出す。逃がしてくれ」
船頭は黙ンまりをつづけ、ただ櫓だけを鳴らしていた。しかし岸をたどり歩いて、兇暴な火焔と人群れの影はどこまでもくッついて来る。
「やい船頭、おれたちを知らねえのか」
船頭はフンと鼻で笑った。
「わかってるよ、おめえさんたちの声柄ぐれえは」
「じゃあ、もどれ」
「ごめんだよ」
「野郎、あとで吠えづら掻くなよ」
「あしたは天気だとさ」
「何ッてやんで。てめえが乗せた江州送りの罪人に用があるんだ。そいつを渡せばかんべんしてやらあ」
「とんでもねえや」と、船頭もまた太々しい。「こち徒にもこち徒の商売があるんだぜ。せっかくお乗せ申したお客さまだ。これからゆっくり“薄刃切り”のご馳走でも差上げようっていうのに、ひとに譲ってたまるもんか」
「うぬどうしてもか」
「くどいよ、こっちにとっても飯のたね。おととい来やがれ」
櫓幅いっぱい、舟は水を切って行く。みるまに葦間の火光もわめきも遠くにおいて、辺りは大江の水満々とあるばかりだった。
「かたじけない」
と、宋江がいえば、李万、張千もほっとした顔でつぶやいた。
「ああ、これで厄のがれした。命の恩人だよ、この船頭さんは」