Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
何しても、彼はふと小用をたしに立って行った。それで気づいたことなのである。すぐ裏の台所口の外で、ひそひそ囁きあっている男女があり、女は草簪の先刻の女であるのはいいが、男の方にハッとしたのだ。今朝、峠で、おっ放してやったあの李鬼にまちがいなしだ。
「……そうかえ、まあ、危なかったわねえ!」
と、女は山猫のような眸をくるっとさせて、そして仰山に、あとの声はしばらく唾呑んでいる。
「じゃあ、本物の李逵が帰って来たんだね。あの黒旋風がさ」
「そうだよ、驚いたの何のッて。だけど口から出まかせに、ありもしねえおふくろを称って、哀れッぽく持ちかけたら、馬鹿な野郎さ、何とおれに十両くれて行っちまやがった。あははは」
「しっ……。その李逵に違いないのが、飯を炊いてくれといって、さっきから店の横で昼寝して待ってるんだよ。静かにしないと」
「えっ、奴がここへ来てたのか。そいつあたいへんだ。ど、どうしよう」
「なにさ、男のくせに、いっそ、ちょうどいいじゃないか。飯のおかずへ、しびれ薬をしのばせて眠らせてしまえば、いくら黒旋風だって」
「ア、なるほど。金はまだたんまりふところに持っているふうだった。