Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

戴宗は、わざと控えて、形勢をみていた。そして、

「不義、非道、弱い者いじめ。そんな跋扈をゆるさぬ街の鉄火の意気はまだ廃っていなかったな。……おお悪軍人のかったい棒め、とうとう、不ざまな恰好で逃げ出してしまったぞ。あっ、人斬り楊雄がこんどは追ッかけて行く。薪木売りも一しょになって」

いつかあたりの見物人も散らかって、あとには薪木売りの薪木の束だけが残っていた。

「楊林、そいつを持って、向うの酒屋で飲んでいよう。そのうちにあの若いのが商売物を取りに返ってくるにちがいない」

案のじょう、やがて薪木売りは戻って来た。

それを酒屋へ誘い入れて、戴宗は彼の侠気をたたえたり、その身の上などを聞きほじりながら、心ひそかに、

これもまた頼もしそうな。

と、はや一思案を抱いていた。

「そうですかい。……金陵(南京)のお生れで、そんなに諸国を歩きなすったか。そして、馬買いの叔父御に死なれて、生業を失ったとはいえ、薪木売りとはまた、お若いのに、思いきったものに成ンなすったな」

「ええ、資本もありませんし、根ッからの鈍物。死に別れた叔父貴からも、今みたいな時世に、おまえみたいな馬鹿正直じゃあ生きてゆけねえぞッて、よくいわれていた私ですから」