Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「どうかして、もいちど彼に会いたいもの」
と、ここ毎日、役署の行き帰りには、彼の居所を探していた。そしてついに、町端れの木賃宿に、彼のいることを突きとめ、会って、とたんに、はらはらと涙をたらした。
「石秀! ……。すまなかった。君の忠告をアダにしたこの腑抜け者。わらってくれ、ゆるしてくれ給え」
「なんの、兄貴が分ってくれさえすればそれでいいんだ。もしかしてまたも女房の口に言いくるめられて、逆にこの石秀をお恨みなすっているんじゃないかと、私もついこの土地を去りえず、もういちど兄貴に会い、そして動かぬ証拠もお見せした上で立ち退こうと思っていたんで……。ま、念のため、ごらんなすって」
と、石秀は血の乾いた如海の頭巾法衣などを取出して、彼の前に示し、これでもう今は心残りもない。義の杯はお返ししよう。これをもって自分は他国へ退散すると言い出した。
「いや待ッてくれ」と、楊雄は色をなして。「義兄弟の杯とは、そんな軽薄なものではあるまい。君はそれで気がすんでも、俺の心はすまない。また楊雄の男が立たぬ。もう一日待ってくれ」
「兄貴。待ったら、どうする気なのだ」
「女房の巧雲から、君へむかって、詫びをいわせる。