Classici giapponesi con furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Leggi 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.079 caratteri · 102 schermate
十二
いや、それについて、」
出家は思出したように、
「こういう話がございます。その、誰にも言うな、と堅く口留めをされた斉之助という小児が、(父様は野良へ行って、穴のない天保銭をドシコと背負って帰らしたよ。)
……如何でござる、ははははは。」
「なるほど、穴のない天保銭。」
「その穴のない天保銭が、当主でございます。多額納税議員、玉脇斉之助、令夫人おみを殿、その歌をかいた美人であります、如何でございます、貴下、」
十二
「先ずお茶を一ツ。御約束通り渋茶でござって、碌にお茶台もありませんかわりには、がらんとして自然に片づいております。お寛ぎ下さい。秋になりますると、これで町へ遠うございますかわりには、栗柿に事を欠きませぬ。烏を追って柿を取り、高音を張ります鵙を驚かして、栗を落してなりと差上げましょうに。
まあ、何よりもお楽に、」
と袈裟をはずして釘にかけた、障子に緋桃の影法師。今物語の朱にも似て、破目を暖く燃ゆる状、法衣をなぶる風情である。
庵室から打仰ぐ、石の階子は梢にかかって、御堂は屋根のみ浮いたよう、緑の雲にふっくりと沈んで、山の裾の、縁に迫って萌葱なれば、あま下る蚊帳の外に、誰待つとしもなき二人、煙らぬ火鉢のふちかけて、ひらひらと蝶が来る。