Classici giapponesi con furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate
「旦那だって、吹きたいんでしょう。こんなに、大勢から、やんやと持てては」
「ばかをいえ。おまえたちに聞かせるほどなら、野中でただ独り吹いていたほうが、よほどよく吹ける」
「そら、始まったぞ。旦那の勿体ぶりが」
「でも。ほんとだ」
「そんなに、わしらの耳はふし穴ですかね」
「まあ……な」
「ひどい、ひどい」
親方の権三も、職人たちも、わざと息まいて見せる。竹の歌口をなめながら、介三郎は肩をゆすぶった。
すると、隅にいた勘太が、
「こちらの耳がふし穴でも、吹き人がほんとうに心を入れてふけば、通じるはずでしょう」
と、いった。
介三郎は、ぎょっとしたように振向いて、
「もや助か。生意気なことをいうなあ。どこで覚えた、そんな文句を」
「あそこに書いてあります」
「どこに」
「床の間に」
見ると、なるほど、二行の双幅に、こう書いてある。ひとつには、
岩松無心風来ッテ吟ズ
もうひとつの幅には、
水元声無シ石ニ触レテ鳴ル
「もや助。おまえにはこれが読めるのか」
「……どうにか」
「えらいな」
「でも、これくらいは、わしの国では、駕かきでも、船頭でもみな読みます」
「ふム……どこだ、故郷は」
「えっ」