Classici giapponesi con furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate
だんと、地ひびきがした。
羽がい締めに組んで来たうしろの者を、肩ごしに前へ投げ出したのである。
いうまでもなく、ふたつの部屋の灯もただならぬその物音に揺れうごいて、
「何者だっ」
「何事?」
とすぐ縁へ立ち出で、あわただしく家臣を呼ぶ吉保の声もした。
男は、すばやく木の間へ逃げこみ、追いかける者を、なお二、三投げとばしていたが、たちまちそこは、むらがり寄る家臣の包囲するところとなって、嵐のごとく暫し木々や草の騒いでいるうちに、
「出ろっ。――出ぬかっ」
と、縄の端を持って、家臣たちが無理無態に引っぱり出したのを見ると、すでに男は高手小手、鞠のように縛められていた。
「手燭を持て」
吉保は庭へ降りて来た。
そして、男のそばへ近づいた。
「――明りを」
と、もう一度、それを促して、俯向いている若い男を、しげしげと眺め入った。
「だれぞ、この者に、見覚えはないか。どこの小者か」
すると、家臣のひとりが、
「やっ、この者は、いつも検校の供をして、ご当家へもたびたび来ておる中間でございます」
と、さけんだ。
「なに、検校の?」
ひとしく愕いて眼をみはった。ちがいない、そうだ、と口をそろえていう。