Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate

Aozora Bunko

顔つきも緊ったし、動作も、口のききようも、以前にはない屹としたものがある。まえにはどこかしら崩れたような、じだらくな媚が感じられ、不道徳な嬌めかしさが匂っていた。それらがいまは、洗ったように、きれいに消え去っている、こんなことは初めてであった。こいつ、と六郎兵衛は心のなかで思った。こいつまた男ができたな、と云いながら、彼は盃を取った。

「酌をしろ、きさま、男ができたな、そうだろう、男ができたんだろう」

おみやは兄の盃に酌をし、まともに兄の顔を見まもりながら、静かに云った。

「そんなこと、兄さんに関係はありません」

「隠してもだめだ、眼を見ればわかる」と六郎兵衛は冷笑した、「きさまという女は、一日でも男なしではいられないやつだ、白状しろ、いったいどんな男に惚れたんだ」

「兄さんには関係のないことよ」

「関係がないって」六郎兵衛は唇を歪めた、「きさま兄に向かって、そんな大きな口をきいていいのか」

「わたくしするだけのことはして来ました」とおみやは云った、「決していばるわけではありませんけれど、これまでいちどだって、あなたにさからったこともなし、ずいぶん辛いときだってがまんして、云われるだけのことはやって来たつもりです」