Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate

Aozora Bunko

その人っ子一人通らぬ道を、ポクポクと兄の後を跟けて行くのですから、兄に気取られぬよう、どんなに苦心したか知れません。

変装といったところで、なんの持ち合せもありませんから洋服の上に押入れから引っ張り出した、父の若い頃のボロボロの二重廻しをはおって、頭巾を真深に、鼻口許をマスクで掩うて、あまり近づかぬよう、さりとて姿を見失わぬよう、随分苦労して歩きました。

何か考え考え、兄は足を運んでいます。が田舎者の常として、足の早いこと! 姿を見失わぬよう頭巾の中で、息苦しいほど私は汗ばみました。

竹藪を通り抜けて、畑の横の石礫道を過ぎて胸を衝くような急坂を登り、さっきから三、四里余りの道も歩いて、もう時刻は十二時頃を、過ぎていたでしょう。登ったり下ったり、もう峠も、三つばかりを越えていたような気がします。

子供の時分の記憶ですから、ハッキリとは覚えませんが、道はこのさきで二股に分れていたような気がします。そして後一里か二里で隣り村の隣り村、母の葬られている北野の宗源寺へ辿り着くでしょう。左側の、そこの溪川に架けられた丸木橋を渡って、爪先上りの竹藪を抜ければ、遥か稗田山の麓には、寄居の町が小さく、豆粒のように霞んでいます。