Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
「…………」
「これだけいうても、まだ、意地を、張っとるんけえ? そこまで思い詰めとるもんなら、もうわしも隠しゃせん! 早う出て来え!」
これではもはや、隠れてる必要はありません。私は姿を現して、兄の前に突っ立ちました。もう兄も、決心したのでしょう。あの眩しそうな瞳なぞはしていません。穏やかな、いつもの顔に、戻っているのです。
「腹が空ったろう、弁当でも食わんけゃ?」
突き出した竹の皮の中には、ボロボロの麦飯の握飯と、傍に大きなひね沢庵が添えられてあります。
「要らん!」
「じゃ、わしも後にしよう」
と兄は、竹の皮を引っ込めました。
「やっぱり、跟いて来るけえ?」
私は黙って頷きました。
「仕方がなえ、思った通りに、するがええ。もうわしも隠しゃせん。お前だけは、仕合せに暮さしてやりてえと思うとったが、もうわしの力じゃ手におえん。来たらええだろう」
「兄さんは……兄さんは」
と私は、初めて口を開きました。「俺だということを、知っていたのか?」
「阿父さまの廻しなんぞ着て、わしにわからんと、思うとったんけえ?」
と兄は淋しそうに、笑い出しました。
「どうぞして、お前が諦めて帰ってくれりゃええ、と思うとったんだがな。