Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
そのまた兄の入れてくれるのが待ち切れなくて、ガツガツと喉を鳴らしながら手探りで、子供のように竹の皮へ手を突っ込んでいる、母の他愛なさ! あの尊い尊い私の母だったのでしょうか! あまりの浅ましさに、私は顔を掩うて号泣しました。しかも、竹の皮包みを引っ掻き廻している、その指の何本かも、脱け落ちているのです。
涙なくては、一切眺められませんでしたがもっともっと私の涙をそそったのは、食事の済んだ後人目を忍んで汲み上げて来た、バケツの中へ汚れた皿や茶碗を突っ込んで、襷をかけて洗っている兄の姿だったのです。そして洗い終ると埃だらけの板の間へ、雑巾をかけて、尿屎の始末をしている、兄の姿だったのです。家にいれば、十何人かの下女下男に侍かれて、村一番の地主様で通るその兄が、まめまめしくしかも不器用に、働いているその姿が、母の哀れな姿にも増して、私の涙をそそって已みませんでした。
そして私は、この瞬間ほど尊い兄の前に手を突いて、兄を苦しめ切っていたこの四、五日の自分の罪を詑び、母の病気故の辛労を、血の涙を流して、兄に礼をいいたい、と思ったことはありませんでした。
七