Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate

Aozora Bunko

「しまった……しまった……とんだことをしてしまった……これはいかぬ……これはしまった」

と、そこに佐平治が、呆然としてみつめているのも気づかぬらしく、夢中でつぶやきながら、ウロつきまわっているのです。

このかんしゃくもちの家老にも、じぶんの手にかけた少年が、ただの家中の若侍ではなく、殿の大村出雲守さますら一目おかれる、お客分竜胆寺家の跡取りであるということが、いまようやく癇のおさまった頭に、思いだされてきたのでしょう。

「これはいかん! しまったことをした! これはいかん!」

またぞろ刀の柄頭をおさえながら、屍体のまわりをめぐりあるいていましたが、その瞬間、そこに腰をぬかしている佐平治のすがたが目にうつったのでしょう。恐怖に色をうしなっているこの城代のひとみには、ハッと一瞬、驚愕の色がはしりました。

「ウウヌ、佐平治! 貴様見おったな? やい、こら、みおったな!」

「だ……だんなさま、こ……これは……とんだことをなされまして……」

「は、早く……そ、そこのふすまをしめえ! な、なにをしとる! は、早く、なかへはいって、ふすまをしめえというに!」

魂も身にそわず、両脚をガクガクとふるわせながら、やっとのことで這いこんできた佐平治のまえへ、傷ついたオオカミのように兇暴な左近将監の目が、いざといわば真っぷたつ! とばかり