Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
「ただいま立ちかえりました」
と、表玄関からはいってきた新之丞の声をききつけると、びっくりしたようにとびだしてきたものは、藤でもなければ八重でもなく、若党の佐平治だったのです。
薄暗いところですから、さだかにはわかりませんが、妙にものにおびえたように、そのくせなにかソワソワとしておちつきがなく、
「さ、さ、若さま! だんなさまがさきほどから、お待ちかねでいられます。そのままでスグに、どうぞ! 若だんなさまおかえりでいらせられまするぞ!」
と、みちびいてくれた広書院は、もはやスッカリ洗いきよめられて、一時二時のまえ、そこで、そんなにもおそろしい惨劇が演じられたとは、だれだって感づこうはずもありません。
そして城代左近将監は、円窓ちかくに端座して、てあんどんのかたわらで書見に余念もなく、はいってきた新之丞を見ると、
「せがれか?」
と、ふりむいた顔は、もはやいつもとはなんのちがったところもみえません。
「そちに、すこしく話したいことがあっての、……かえりをまっていたところじゃ! ささ、もそっとそばへよれ。他聞をはばかる儀での、もそっと近くよらぬか!」
と、おちつきはらって膝をむけてきましたが、もしそのとき新之丞に、すこしでも勘がはたらきましたならば、長押のほとり、欄間のあたり、そして天井の上、いくらふいてもきよめ