Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
ある日の暮れがた、将監が御殿からかえろうとしていたのは六つ半ごろ、いまの午後の六時ごろになっていたかもしれません。
お城から退出してくるのには、城の大手門から両側に、さくらの並木のつらなっている馬場をくだってこなければなりませんが、両側はひろい濠になって、そこには一面の蓮がおいしげって、ひるまでもさびしいところだったのです。
ちょうどこの並木のまんなかごろ……なかでもことに枝葉のしげってこんもりとしたさくらの木影を、いま、左近将監の乗馬が通りかかったときのことだったのです。丈余のさくらの枝から、黒装束の曲者がひとり、ヒラリととびおりると同時に、いきなり抜きうちに左近将監に切ってかかりました。
「えェい!」
と、気合するどく、わずかにくらの上で身をねじりましたから切っさきは、はずれて、馬の鞍壺をきりつけましたが、さすがは間庭無念流の達人、左近将監はたちまち馬上に刃を抜きあわせました。
「慮外ものめ! 名をなのれ! 城代石藤左近将監なるぞ! あやまって人ちがいすな!」
刀をかまえて目を四方にくばりつつ、大音声をあげましたが、もはや人の顔もわからぬたそがれの闇のなかに、黒装束の曲者は、ひとことの口もききません。