Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
と、その手がソロソロとうごいて、いま煮えている鍋のふたをとりました。帯のあいだからとりだした紙包みの白い粉を、ザラザラとながしこむと、何食わぬ顔で、しゃもじをもってしずかにかきまわしています。そしてやがてまたふたをして、耳をうごかしながら、ニヤッと笑みをうかべてあたりを見まわした顔つきのすごさ!
が、その瞬間だったのです。たちまちこの恐ろしい下働きは、なんにおどろいたのか、おそろしい形相をしてすっとびあがりました。
「な、な、な、何をしやがった、この女ァ! ふてえ真似をしやがって! な、な、何をいれやがったんだ、だんなさまのお食事のなかに!」
と、おどりこんできたものがあったのです。いま左近将監の供をしてかえってきたのでしょう、若党の佐平治だったのです。
「ヤイ女ァ! 逃げる気か?」
手首をつかんだ手をひきよせて、佐平治は目をいからせました。
「おかしな真似をしてやがると、人が入口からみてるともしらず、やい、だんなさまのお召しあがりもののなかへ何をいれた! ヤイお稲、だれにたのまれて、てめえは毒をいれやがったんだ? ウヌ逃げる気か」
逃げる気かも、なにもあったものではありません。