Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Leggi 牛をつないだ椿の木 (かわ) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 75.647 caratteri · 155 schermate

Aozora Bunko

「返してくれろって?」

「うん」

「そうか、あのばかめが」

「あれ、だれなの、おじさん」

「あれか」

そういって老人は、また長くせきいった。

「あれは、うちの周作だ」

「えッほんと?」

「きのう、十なん年ぶりで、うちへもどってきたんだ。ながいあいだ悪いことばかりしてきたけれど、こんどこそ改心して、まじめに町の工場ではたらくことにしたから、といってきたんで、ひと晩とめてやったのさ。そしたら、けさ、わしが知らんでいるまに、もう悪い手くせを出して、このふたつの時計をくすねて出かけやがった。あのごくどうめが」

「おじさん、そいでもね、まちがえて持ってきたんだってよ。ほんとにとっていくつもりじゃなかったんだよ。ぼくにね、人間は清廉潔白でなくちゃいけないっていってたよ」

「そうかい。……そんなことをいっていったか」

少年は老人の手にふたつの時計をわたした。うけとるとき、老人の手はふるえて、うた時計のねじにふれた。すると時計は、また美しくうたいだした。

老人と少年と、立てられた自転車が、広い枯野の上にかげを落として、しばらく美しい音楽にきき入った。老人は目になみだをうかべた。

少年は老人から目をそらして、さっき男の人がかくれていった、遠くの、稲積の方をながめていた。