Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Leggi 牛をつないだ椿の木 (かわ) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 75.647 caratteri · 155 schermate

Aozora Bunko

「潔白だよ」

「うん潔白、それでなくちゃいかんぞ。そういうりっぱな正直なおとなになれよ。じゃ、ほんとにさいなら」

「さいなら」

少年は、両手に時計を持ったまま、男の人を見送っていた。男の人はだんだん小さくなり、やがて稲積のむこうに見えなくなってしまった。少年はてくてくと歩きだした。歩きながら、なにかふにおちないものがあるように、ちょっと首をかしげた。

まもなく少年のうしろから自転車が一台、追っかけてきた。

「あッ、薬屋のおじさん」

「おう、廉坊、おまえか」

えりまきであごをうずめた、年よりのおじさんは、自転車からおりた。そしてしばらくのあいだ、せきのためものがいえなかった。そのせきは、冬の夜、枯木のうれをならす風の音のように、ヒュウヒュウいった。

「廉坊、おまえは村から、ここまできたのか」

「うん」

「そいじゃ、いましがた、村からだれか男の人が出てくるのと、いっしょにならなかったか」

「いっしょだったよ」

「あッ、そ、その時計、おまえはどうして……」

老人は、少年が手に持っているうた時計と懐中時計に目をとめていった。

「その人がね、おじさんの家でまちがえて持ってきたから、返してくれっていったんだよ」