Classici giapponesi con furigana
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かわ
牛をつないだ椿の木
Leggi 牛をつないだ椿の木 (かわ) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 75.647 caratteri · 155 schermate
顔をあげてみると、意外にも、みんなの視線は、春吉君に集中されておらず、やはり石太郎の方にむいているのだ。
藤井先生が、黒板のうらにかかっているむちをとって、つかつかと石太郎の前に歩いていかれる。春吉君の心の底から、正義感がむくっと起きてきた。じぶんだといってしまおうか、しかし、だれひとり、じぶんをうたがってはいないのである。ここで白状するのは、なんともはずかしい。先生が石太郎の席に達するまでのみじかい時間を、春吉君の中で正義感と羞恥心とが、めまぐるしい闘争をした。それが春吉君の動悸を、鼓膜にドキッドキッとひびくほど、はげしくした。そして、しばらく正義感がおさえられた。
反射的に、ねんどを親指と人さし指の腹ですりつぶしながら、春吉君は見ていた。石太郎はいつもと変わらず、てれた顔をつくえに近くゆすっている。いまに、おれじゃないと弁解するかと、春吉君がひそかにおそれながらも期待していたのに、その期待もうらぎられた。石太郎は、むちでこめかみをぐいとおされ、左へぐにゃりとよろけたが、依然てれたような表情で、沈黙しているばかりである。
春吉君はよぎなく、じぶんの罪を白状させられる機会は、ついにこなかった。