Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Leggi 牛をつないだ椿の木 (かわ) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 75.647 caratteri · 155 schermate

Aozora Bunko

彼女は、つくえのむこうの、すがたも見えなければ返事もしない人に、話をしつづけていた。

「アキ坊ちゃんはね、死んじゃったの。もう五、六年もまえの雪のふった晩に」

相手の人がなにかこたえているらしい。それが久助君にはきこえないが、彼女にはきこえるとみえて、耳をたてて聞いている。そしてまたいう。

「この子、死ぬってこと知らないんだわ。死ぬってね、かくれんぼうでどっかへかくれて、いつまで待っても出てこないようなもんよ」

すがたの見えない相手がなにかいうらしい。すると彼女は、なにかおかしい返事を聞いたのだろう、とつぜんクックックッとわらいだした。そしてこのわらうのが、じぶんで満足のいくようにできないとみえて、彼女はなんどもやりなおした。「クックックッ」とか、「ウフッフッフッ」とかいって。

久助君はもうがまんができなかった。すぐ家へ帰ってしまった。

それからしばらく、久助君は、太郎左衛門の屋敷の門の前を通るときにはきっと、ふじの花のさいている明るい昼間だというのに、ランプをつけて学芸会の劇を練習している、色の白いぶきみな少女のことを思い出したのである。

四