Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
「けれど、私は死んだって、悪事は止められない性分なのさ。悪事を働くくらい、面白いことはないからネ」
「毒婦だな、貴様は。――その美しい容貌を持って生れながら何という情けない心だろう。薊の花だ。茨の花だ」
「何とでも仰っしゃいましとサ」
八弥はこの女に、何らの同情も湧かなかった。それだけに、気が楽である。びしびしと引き摺り上げて、崖の中腹から元の道へ登った。
――そして、縄尻をつかんで、叡山道の峰を辿りながら、ぼつぼつと訊ね出した。
「玉枝」
「…………」
「オイ玉枝」
「うるさい人だね。私に何か訊くことがあるならば、その辺で、水でも飲ませて、少し休ませてくれなければ駄目だよ。息が喘れて、返辞なんか、できやしない」
「そうか、じゃ少し休ませてやる。そこへ腰をかけろ。――その代りに拙者の問に答えるのだ」
「オヤ、もうお白洲かい」
「貴様は、江戸表から小筥を持って来たな。そしてそれを、含月荘の大村郷左衛門の手へ届けたな」
「そんな事は、お前さんの方が、とうにご存じじゃないか」
「あの中には、人間の指がはいっていた」
「それも昨夜、私達が密談をしているところを、お前さんが忍び込んで、次の間からすッかり聞いて逃げたじゃないか」