Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

郷左衛門は、小屋の横から谷道を見下ろして、

「主水主水、やって来たぞ」

「おお成程、引っ担いで参りましたな」

「作兵衛、火入れを用意しておけ」

そこへ、南の同心波越八弥を肩にのせた大勢の武士たちが、ぞろぞろと登って来た。

玉枝は、郷左衛門父子の姿を見ると、ニッコリと駈け寄って、

「ご家老様、首尾よく、ゆうべの曲者を、罠にかけて参りました」

と、言った。

郷左衛門は、武士たちへ頤をしゃくッて、

「すぐに、裏の竈場へ運んで行け」

「はっ」

と、山いでたちの武士の群は、八弥を引っ担いだまま小屋の裏へ廻って、

「老爺、どの竈へ抛り込むのだ」

と、訊ねた。

そこには、真っ黒に煤った三つの炭焼竈が、毛をられた巨獣のような粗い肌をして、火口を並べていた。

作兵衛は、気のない顔をして、

「きょう火入れをするのは、三番竈だよ」

「こっちの端か」

「へい」

「どれ……」

と、一人の武士が火口から中を覗き込んで、

「ム、いかにも、楢の炭材がいっぱい詰め込んであるわ」

「それでは、すぐに抛り込め」

「よいしょ!」

と、肩から下ろした八弥の体は、たちまち、真っ黒な竈の胎内へ、薪を押し込むように、無理無態に、詰め込まれてしまった。