Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
老先生の機智は、矢文の方も、これも、二つながら成功した。加山耀蔵のからだから解いた縄は、そのまま、玉枝を縛るものに使えた。舟辰と、若い船頭三人に捻じ伏せられては、彼女も、どうすることもできない。観念の眼をふさいで、自由になっていた。
すると、そのなかの千吉が、棘にでも触れたように、
「オヤッ?」
と、手を引っこめた。
「なんだ? 千吉」
「親方、ふしぎなこともあるもんですね」
「どうして」
「この女、左の手を見ておくんなさい。――烏爪だ、あっしの妹のお半と同じだ。お半の小指の爪も、お鉄漿を染めたようにまっ黒なんで、奇妙な生れつきだと思っていたら、この女にも、同じ爪がある」
「ウム……なるほど」
「妹も、こんな毒婦にならなけりゃいいが」
「あの娘はやさしいから、なれと言っても、こんな不敵者になるはずはねえ。今は、家かい」
「いえ、……お恥しいわけですが、ちょっと、事情があって、この春から柳ばしのお紺姐さんの家に、仕込みに預けてありますんで」
「ヘエ、じゃ、雛妓にしたのかい。……それやかえっていいだろう、今のうちから、柳ばしの水で洗い上げれば、さだめし、江戸前の芸者衆になるだろうよ」