Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

「呼んでくださいな、分る人を。――この小さな荷物を一つ、京都へ送って貰いたいんですが」

と、女は、胸にかかえている小さな小箱を示して言った。

「――へ。ただ今」

お掛けください、という世辞も忘れて、小僧は、奥へとびこんで行った。と、すぐに、如才のない、中年の番頭が、

「どうも、お待たせいたしまして、とんだ失礼を。……さ、お敷き下さいませ。オイ、幸どん、まだ、お茶が出ておりませんよ」

手をたたいて、奥と客とへ、等分にしゃべりながら、座ぶとんをすすめる、茶を出す、世辞を撒く。

誰がふんでも、一人前の、商人気質である。――だが、それは巧妙に変装した老先生股肱の同心、加山耀蔵だった。

「ええと……お嬢様」

耀蔵は、もみ手をしながら、畏る畏るのぞき上げて、

「ただ今、承りますと、何ぞ、お荷物をお送りになるとか、為替のご用だとか、伺いましたが」

「はい、いつもの所へ」

と、女は、頑丈な二重箱を打ちつけた上に、渋紙と、麻縄をかけた小荷物を、そこへ出した。

「……送って戴きたいんですが」

「へい、畏りました。ええと、いつもの所と申しますと?」

「毎度、あちらから、金子を為替で送ってもらう……」